研究概要 |
有機電解質と炭素系電極活物質を利用した電気二重層キャパシタの飛躍的な特性向上を狙い,低温プラズマを用いた炭素材料電極の表面修飾,ならびに新規薄層ゲル電解質を設計し,以下のように画期的な性能向上を実現することができた。 1.低温プラズマを利用した炭素質電極界面の修飾 アルゴン-四フッ化炭素混合ガスから高周波電圧誘起低温プラズマを発生させ,炭素粉末コンポジットシート電極を処理した。その結果キャパシタ充放電反応における界面抵抗が顕著に減少し,高速充放電特性が大幅に改善,すなわち高レートにおいて容量が増大することがわかった。この好ましい効果の原因を調査したところ,フッ素系低温プラズマ処理により電極表面積はむしろ減少するものの,活物質炭素粒子表面にフッ素ならびにフルオロメチル基が導入されることが判明した。これにより界面物性が大幅に改善されることが明らかになった。 2.薄層有機ゲル電解質を用いた高エネルギー密度キャパシタの開発 PVdF誘導体ポリマーと非対称四級アンモニウム塩を基本構成要素とする有機ゲル電解質の薄層化を試み,厚さ数十ミクロンという超薄型電解質を適用した電気二重層キャパシタのプロトタイプ開発に成功した。 3.水系有機ポリマーゲル電解質の新規提案 これまでほとんど開発が試みられていない,酸性ないしアルカリ性水系媒質を有機マトリックスポリマーにてゲル化した新規電解質を合成し,基礎物性を探索した。その結果通常の水系電解質と同等のイオン伝導度を実現しつつ,漏液を起こさない(液保持能力の高い)電解質系が実現できた。
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