研究概要 |
電気二重層キャパシタの性能向上を目指し,電極ならびに電解質の大幅な改善を試み,大きな成果を得ることが出来た。以下にその概要を記す。 電気二重層キャパシタの電解質として,PVdF-HFPタイプのゲル電解質を適用した。この電解質を極限まで薄膜化しつつ,さらにゲル電解質と電極との界面接合の最適化を行い,これまでに無い高い性能を引き出すことに成功した。すなわち,高速の充放電を行った場合,通常の有機電解液キャパシタではキャパシタンスが減少してしまう大電流領域においても,キャパシタンスが全く低下しないゲル電解質キャパシタを構成することに成功した。このキャパシタは電解質厚みがわずか10ミクロンであり,しかも通常の活性炭シート電極を用いているにもかかわらず,このような高性能が発現したことは驚くべきことである。 キャパシタの高性能化のもう一つの主要要素技術である電極の改善についても試みた。これにはフッ化物やアルコキシシランガスから発生させたコールドプラズマを電極材料の活性炭表面に照射し,細孔制御と表面官能基制御を行うことでレート特性の改善に成功した。さらに,活性炭に換え,カーボンナノチューブを一方向に配向させてそれをそのままシート状の電極とした,カーボンナノシート電極を開発し,二重層キャパシタの電極としてのテストを行った。その結果,この電極は超高速充放電に適合することが判明した。すなわち,通常の活性炭では全く充放電が不可能,つまり放電キャパシタンスがゼロになってしまうような大電流でも充放電が可能であることが明らかとなった。 以上述べた技術について,可能なものはリチウム二次電池系にも適用を試みた。
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