研究概要 |
直径約12μmのシリカガラス微小球を、マグネタイトを飽和濃度だけ含むフッ化水素酸水溶液中に30℃で24日間浸漬し、さらにこれを70CO_2+30H_2の混合ガス雰囲気中、300〜600℃の種々の温度で1時間加熱処理した。加熱処理前の微小球はB-FeOOHからなるが、これを400℃以上で加熱処理すると、マグネタイトが析出し始め、加熱処理温度が上昇するにつれてその析出量を増し、600℃でほぼマグネタイトのみからなる、直径20〜30μmの真球状の微小球が得られることが分かった。このようにして得られた微小球は、飽和磁化53emu・g^<-1>、保磁力156Oeの強磁性を示した。300Oe,100kHzの交流磁場における同微小球の発熱量は、41W・g^<-1>と計算され、これは、従来のマグネタイト含有結晶化ガラスのそれの約4倍であった。透過型電子顕微鏡観察によれば、同微小球を構成するマグネタイトの結晶子サイズは約50nmであった。 高純度マグネタイト粉末を、高周波誘導熱プラズマ火炎に噴霧し、さらにこれを5.1×10^3Paの減圧下、300〜700℃の種々の温度で1時間加熱処理した。加熱処理前の微小球はマグネタイトとごく少量のウスタイト(FeO)からなるが、これを600℃以上で加熱処理すると、ほぼマグネタイトのみからなる、直径20〜30μmの真球状の微小球が得られることが分かった。電子顕微鏡観察によれば、同微小球を構成するマグネタイトの結晶子サイズは約1μmであった。このようにして得られた微小球は、飽和磁化92emu・g^<-1>、保磁力50Oeの強磁性を示した。300Oe,100kHzの交流磁場における同微小球の発熱量は、10W・g^<-1>と計算され、これは、従来のマグネタイト含有結晶化ガラスのそれとほぼ同じであった。
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