各年度の研究実施計画に基づき、記載する。 平成14年度計画(1):回収機構と最適回収条件の選定・・・リン酸カルシウム、リン酸1水素カルシウム、リン酸2水素カルシウムを用いると水溶性鉛を容易に回収できることを明らかにし、本研究の発端のように回収機構は溶解-沈殿機構であることを支持できた。これら3種類のうち、リン酸1水素カルシウムを用いると様々な水溶性重金属の固定化回収が出来ることが明らかになった。同計画(2):含鉛バッテリー廃液からの鉛の回収・・・硫酸水溶液が用いられているバッテリー廃液に溶解している鉛を固定化回収するには、固定化剤として硫酸塩を用いる必要がある。硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムを用いるとリン酸塩に匹敵する高い固定化回収能が得られることを明らかにした。平 成15年度計画(1):カルシウム以外のアルカリ金属およびアルカリ土類金属リン酸塩による回収実験・・・上記から、固定化剤の溶解度が高い試薬が固定化回収に有利と考え、安価で溶解度も高いリン酸ナトリウム、リン酸カルシウムの固定化能を検討した。溶解度の高いアルカリ金属リン酸塩は様々な水溶性重金属の回収固定化を、カルシウム水酸アパタイトよりも短時間で高効率で達成できることが明らかになった。同計画(2):水溶性リンおよびアンモニアの固定化回収・・・マグネシア、塩化マグネシウムを固定化試薬とし、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)として水溶性リンおよびアンモニアの固定化回収を行い、回収pHの重要性とともMAPの再使用への懸念を明らかにした。同計画(3):回収固体のNMR分析・・・例えばリン酸水素カリウムで銅を固定化回収した固体は条件によってアモルファスとなり構造が不明となる。31P MAS NMRとXRDを併用して、回収した固体がCu2(PO4)(OH)であることを明らかにした。
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