研究概要 |
以下の4種類の色素について、色素増感太陽電池用増感剤としての応用を検討した。 第一章では、3-アリール-4-ヒドロキシシクロブト-3-エン-1,2-ジオン類の酸化チタン太陽電池用増感剤への応用について検討した。その結果、光電変換効率を向上するには、増感剤の蛍光強度を向上させることが重要であることがわかった。最大の光電変換効率はジドデシルアミノ誘導体で得られ、0.96%であった。第二章では、近赤外吸収ヘプタメチンシアニン色素の酸化亜鉛太陽電池増感剤への応用について検討した。中央部位が2-カルボキシフェニルチオ基が置換したインドリウムヘプタメチン誘導体が804mnで最も高いIPCE4.17%を示した。第三章では、一段階カソード電析テンプレート法で作成した酸化亜鉛薄膜の増感剤として2-カルボキシエチル基が置換した新規スチリル色素を検討した。最大吸収波長は500nm付近に観察された。電子求引複素芳香環部位は、ベンゾチアゾリウム部位が最も良い結果を示した。電子供与部位には、ジメチルアミノフェニル部位が最も良い結果を示した。その結果、3-(2-カルボキシエチル)-2[4-(ジメチルアミノ)スチリル]ベンゾチアゾリウム=ヨージドが最も良好であった。500nmでのIPCEは59.6%、短絡電流は、6.33mA cm^<-2>、開放電圧は0.51V、フィルファクターは57%、光電変換効率は1.84%であった。第四章では、一段階カソード電析テンプレート法で作成した酸化亜鉛薄膜に対して、一連の9-置換ペリレン-3,4-無水物の増感色素としての応用を検討した。その結果、9-ブロモ体が最も良好な結果を示した。431nmでのIPCEは35.3%、短絡電流は、1.78mA cm^<-2>、開放電圧は0.46V、フィルファクターは64%、光電変換効率は0.52%であった。 以上のように、4種類の新規化合物について増感剤としての応用を検討した結果、スチリル色素が良好な性質を示すことがわかった。この色素系の構造変換によって、より長波長で増感作用を示す深色性色素を得る可能性が示された。
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