研究概要 |
S-フェニル 2-ブロモ-3,3,3-トリフルオロプロパン酸エステル(1)を高収率で合成した。このチオエステル1をTHF中亜鉛末(1.2当量)及び塩化ジエチルアルミニウム(1.2当量)の存在下に種々の芳香族又は脂肪族アルデヒド(1.2当量)と0℃又は-20℃で3時間反応させると、対応するα-トリフルオロメチル-β-ヒドロキシチオエステル(3)が74-90%の収率で得られた。しかし、反応の立体選択性は殆ど認められなかった(erythro : threo=26-56〜74-44)。ブロモチオエステル1の合成過程で調製したS-フェニル3,3,3-トリフルオロプロパン酸エステルのトリメチルシリルケテンチオアセタールを、ジクロロメタン中三フッ化ホウ素エーテル錯体の存在下で、各種のアルデヒドと-78℃で20時間反応させたところ、対応するβ-ヒドロキシチオエステル3がエリトロ選択的(erythro : threo=79-95〜21-5)に良好な収率で得られることがわかった。 一方、N-メトキシ-N-メチル-2-ブロモ-2,3,3,3-テトラフルオロプロパンアミド(2)を調製し、これにジクロロメタン中それぞれ1.2当量のルイス酸及びトリフェニルホスフィンの存在下、種々のアルデヒドを室温で24時間作用させると、対応するα-フルオロ-α-トリフルオロメチル-β-ヒドロキシアミド(4)が高収率かつ高立体選択的(erythro : threo=85-96〜15-4)に得られることを見出した。ルイス酸としてはチタン(IV)テトライソプロポキシドが最も良い結果を与えた。また、ルイス酸の使用量を0.1当量に減じても、反応は効率良く進行し、β-ヒドロキシアミド4をエリトロ選択的に与えるが、トリフェニルホスフィンの量を少なくすると、反応は完結せず、原料2が相当量回収されることもわかった。
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