| 研究概要 |
(2-ヒドロキシテトラフルオロフェニルノベンゾチアゾールのp-位フッ素をイミダゾリル基で置換したフルオロファーを合成し,その蛍光挙動を検討した。メタノール等の極性溶媒中では青色蛍光を,またクロロホルムのような非極性溶媒中では緑色蛍光を呈し,しかも,それぞれの強度はイミダゾール非置換体よりも大きいという特徴があることがわかった。また,非極性溶媒中での金属カチオンの認識について検討したところ,Mg^<2+>ではその緑色蛍光の強度に変化は認められなかったが,Zn^<2+>では大きく増光することが明らかとなった。その錯体は,モル比法により1:2となり2分子のフルオロファーが関与していることもわかった。イミダゾール部位でZn^<2+>が捕捉され,引き起こされる電子状態の変化がヒドロキシル基まで伝達され,緑色蛍光の増大となって認識されたと考えられる。一方,対応するベンゾオキサゾール誘導体では,Zn^<2+>により緑色蛍光が増大するばかりではなく,Mg^<2+>によって青色蛍光が大きく増光することを見い出した。この増光はMg^<2+>がヒドロキシル基部位によって捕捉されるために引き起こされたと考察される。このように,特にベンゾオキサゾールを骨格とするフルオロファーは金属カチオンの種類によって発光する波長が異なる点に大きな特徴があり,化学センサーへの応用が期待できる。これまでの結果に基づき2003年の日本化学会春季年会および17th International Symposium on Fluorine Chemistryで発表予定である。
|
