研究概要 |
新規窒素-リン複合四座配位子(Hdpfam)を開発し、それを用いて様々な二核錯体(M_2Ar_2(μ-X)(μ-dpfam),M=Pd,Pt,Rh)の合成を行った。それらの錯体を用いて、単核錯体では発現しない二核錯体特有の触媒反応の開発を行い、以下の知見を得た。 1.二核白金錯体によるアルキン類のヒドロシリル化反応 二つの白金を塩素配位子で架橋した二核錯体Pt_2Tol_2(μ-Cl)(μ-dpfam)を水素化ホウ素ナトリウムで処理して得られるヒドリドニ核錯体Pt_2Tol_2(μ-H)(μ-dpfam)がアルキン類へのヒドロシリル化のよい触媒となることを見出した。 2.二核パラジウム錯体による芳香環C-H結合の活性化 二核パラジウム錯体が、通常不活性と見られている芳香環C-H結合を活性化し、アルキンのヒドロアリール化反応を触媒することを見出した。反応機構の解明を行い、パラジウムによる芳香環C-H結合の直接活性化を経ることを明らかにした。 3.二核パラジウム錯体によるオレフィンC-H結合の活性化 二核パラジウム錯体が、通常不活性と見られているオレフィンC-H結合を活性化し、アルキンのヒドロアルケニル化反応を触媒することを見出した。 4.二核パラジウム錯体によるsuzuki-miyaura反応 ベンゼン溶媒中、二核パラジウム錯体によるsuzuki-miyaura反応が、cine体の生成を伴って進行することを見出した。 5.二核パラジウム錯体によるダブルカルボニル化反応 二核パラジウム錯体を触媒に用いるとヨードベンゼンのダブルカルボニル化反応が効率よく進行することを新たに見出し、反応機構の解明を行った。
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