新しいトポ化学重合の反応系の構築として、新たにジエン・ジアセチレン・キノジメタンなどの種々のモノマーでの結晶中での重合挙動を検討した。一連のモノマーについて結晶構造解析を行い、結晶中でのモノマーの配向と重合反応性との相関を検討したところ、キノジメタン類においても、その重合反応性の一般化に成功した。特に興味深い点として、モノマー間の距離が約7.3Åが最適な重合距離であり、これは生成するポリマーの繰り返しユニットに相当することが明らかになった。また、酸素との共重合しやすい結晶でのモノマーの配置も明確になり、新しい反応を結晶で設計することができるようになった。ジエン・ジアセチレンにつづく第3のモノマーとして、キノジメタンモノマーのトポ化学重合におけるモノマーの立体的なパラメータを明確にすることができたことは、トポ化学重合の一般化を促すものとして、大変重要である。 さらに生成する高分子を溶液中で鋳型に沿って規則正しく配向させ、重合を行う鋳型重合系の開発の検討も進み、Pybox配位子と第2級アンモニウムオリゴマーの錯体形成を精力的に現在検討している。その結果、3つのPybox配位子を平行に配置することが可能になった。また、第2級アンモニウムオリゴマーの窒素原子間を炭素3個分にすることで、約4.3Åの間隔にモノマーを配置することも明らかになり、溶液中でのトポ化学重合の可能性が高まっている。現在、重合性官能基であるジエン・ジアセチレンの導入法の検討を行なった。現在合成が完了し、ガンマー線による重合を検討し、予備的であるが、重合が固相系で進行することが明らかになった。
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