研究概要 |
ポリエステルに比べてポリアミドの生分解性に関する研究は遅れているが、合成ポリアミド、ナイロン4が土壌中で生分解することを研究担当者らが初めて見出した。その後ナイロン4は活性汚泥中でも分解することがわかった。しかし高分子量のナイロン4を得るには高真空ラインを用いたかなり厳密な条件で2-ピロリドンのアニオン開環重合を行う必要があるため,一度に大量に合成できず、その生分解機構、安定化、加工方法などの基礎的研究が遅れている。平成15年度の研究では、水和物の再結晶による2-ピロリドンの生成を行ってから、種々の試薬の精製から重合に至るすべての操作を乾燥窒素雰囲気下で行うにより、平均分子量3万以上のナイロン4をかなり高収率で得ることができた。高真空ラインを用いないで、1度に100グラム以上の高分子量ナイロン4を得る手法を確立できたといえる。 2-ピロリドンの重合が30℃という穏やかな条件で行えるので、比較的副反応を抑制できることを生かし、アシルラクタム型成長鎖末端のアルカリ加水分解、加アルコール分解、加アミン分解等を試みて、末端基を簡便な方法でカルボキシル、エステル基、アミド基に変換した。その結果、アミド基に変換した場合に熱安定性が著しく向上することを見出し、成形加工性も向上することがわかった。
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