ポリエステルに比べてポリアミドの生分解性に関する研究は遅れているが、合成ポリアミド、ナイロン4が土壌中で生分解することを研究担当者らが初めて見出した。その後ナイロン4は活性汚泥中でも分解することがわかった。しかし高分子量のナイロン4を得るには高真空ラインを用いたかなり厳密な条件で重合を行う必要があるため、一度に大量に合成できず、その生分解機構、安定化、加工方法などの基礎的研究が遅れている。そこでまず2-ピロリドンの精製においては、水和物の再結晶操作を省略し、種々の試薬の精製から重合に至るほとんどすべての操作を窒素雰囲気下で行ったところ、低分子量のポリアミド1を一度に80グラム以上合成する手法を確立しできた。一方、活性化剤を少量用いた重合では、水和物の再結晶による2-ピロリドンの生成を行ってから同様な重合操作を行うにより、平均分子量3万以上のナイロン4をかなり高収率で得ることができた。高真空ラインを用いないで、1度に100グラム以上の高分子量ナイロン4を得る手法を確立できたといえる。 2-ピロリドンの重合が穏やかな条件で行えるので、比較的副反応を抑制できることを生かし、アシルラクタム型成長鎖末端のアルカリ加水分解、加アルコール分解、加アミン分解等を試みて、末端基を簡便な方法でカルボキシル、エステル基、アミド基に変換した。その結果、アミド基に変換すると、熱安定性が著しく向上することを見出し、成形加工性も改良できると思われる。
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