固体表面における有機分子の規則配列を利用した構造制御高分子の新たな合成法(自己組織化重合)を提案した。高分子を構造制御するのは分子鎖が長いために生じるエントロピー的制約のため困難である。ここで提案する自己組織化重合とは、モノマーの段階で構造制御し、その構造を放射線重合などによって高分子に固定化する方法である。分子認識部位、組織化部位、重合部位を分子内に持つモノマーを分子設計し合成した。分子認識部位には4級アンモニウム塩、クラウンエーテルを、組織化部位には両親媒性やメソゲンユニットなどの分子内ならびに分子間相互作用を持つ分子を用いた。合成したモノマーの構造ならびに相転移をX線回折と示差走査熱量計を用いて検討した。さらにモノマーの単分子あるいは二分子膜の二次元分子配列を透過型電子顕微鏡観察と電子線回折から検討した。分子の組織化の制御は、排除的相互作用である両親媒性、引力的相互作用であるπ電子相互作用や電子供与性-電子受容性相互作用を単独あるいは複合化することで行った。得られた高分子フィルムは厚さ方向に分子が配列しており面内はランダムである構造異方性を示した。このフィルムはイオンセンサとして理論感度の98%を示し、またイオン選択性の高いものであった。
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