研究課題
本研究では、荒天航海中の船舶運航者が操船判断を下す際に有益な情報を提供し、直接的に安全運航を支援するシステムの開発を目的としおり、最終年度である平成16年度は具体的に以下の研究を行った。1.時変多次元自己回帰(TVVAR)モデルによる船体動揺のクロススペクトル解析。平成15年度において、非定常船体動揺に対するスペクトル解析にTVVARモデルを適用し、操船支援システムを構築したが、本来、定常時系列において定義されるスペクトルとTVVARモデル解析における瞬間スペクトルの関係が詳しく議論されたことはなかった。そこで、非定常な船体動揺時系列データに対して時変自己回帰(TVAR)モデルによる瞬間スペクトル解析法の特性を検証し、得られた知見を航海学会において報告した。2.時変性を考慮した拡張Bayes法による方向波スペクトルの逐次推定。船体動揺は変針・増減速の影響を受けて時間的に変化する。さらに、方向波スペクトル自体も緩やかに変化しており、このような時変性を取り込むためにBayes型モデルを用いた推定アルゴリズムを改良した。この拡張によって、TVVARモデルによる時変クロススペクトル解析と組み合わせて、真のリアルタイムシステムの構築が可能になった。この結果は第23回海洋工学および極地工学に関する国際会議(OMAE2004)において発表した。3.本学練習船汐路丸に搭載しての実用化評価実験。船汐路丸において実用化実験中の海洋ブロードバンドシステムを利用して、本システムをネットワーク対応型に拡張した。この拡張により、本システムによって計測された船体動揺データを通信衛星経由で地上局に送り、推定計算の一部を陸上で行うことが可能となった。以上の研究の結果、本システムが船舶安全運航へ充分に寄与できることが確認できた。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
日本航海学会論文集 第112号
ページ: 301-306
Proceedings of the 4th International Congress on Maritime Technological Innovations and Research ISBN:84-765 3-861-8
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Proceedings of the 4th Conference for New Ship and Marine Technology
ページ: 231-235
Proceedings of 23rd International Conference on Offshore and Arctic Engineering (OMAE'04) OMAE2004 51609
ページ: 1-6