研究課題/領域番号 |
14550870
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 清次 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80302173)
|
研究分担者 |
須藤 祐子 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70344687)
新堀 雄一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90180562)
高橋 弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90188045)
畠山 信夫 一関工業高等専門学校, 助教授 (40159091)
|
キーワード | 高温度地層掘削 / 坑井内温度 / TDS-Cooling法 |
研究概要 |
平成14年度では、基本的作業要素から成る掘削に適用可能なシミュレータを設計し開発した。このシミュレータは、TDS-Cooling法使用時の掘削に適用可能なシミュレータの基礎となるものであり、地層中の熱伝導、二重管坑井内の熱流動、そして地層と坑内流体との熱交換から構成される。 本年度作成したシミュレータは、基本的作業要素として、降管、掘進、揚管、ビット交換、循環、保持の6種類のイベントについてシミュレーション可能である。掘削作業は、これらイベントの連続した組合せで表すことができる。計算する際の入力は、イベントに要した時間、ドリルパイプ移動の速度、入泥水の流量・温度・粘性などである。主な出力は、回帰泥水温度、坑底温度、ピット位置温度の経時変化とした。更に、各イベント終了時の深度方向の泥水温度分布も得られる。 本シミュレータを実際のフィールドに適用するために、既存の坑井データを、温度検層・泥水検層・掘削記録等に重点を置いて整理し、使用に適すると考えられる坑井の抽出を行った。本シミュレータで計算を行うためには、特に入泥水の情報や作業状況を記録した掘削日報の充実が重要であるが、多くの坑井では不十分である。本研究では、掘削日報が充実していて、かつ坑底深度における地層温度が比較的高温(約200℃)の坑井を計算対象として選択し、入力データ化してシミュレーションを実施した。計算による回帰泥水温度を泥水検層による実測値と比較したところ比較的良く合致し、シミュレータの妥当性が示唆された。また、計算によりビットの温度履歴とビット寿命の関係を明らかにし、入泥水流量・温度の制御によって期待されるビット寿命の向上率も示した。さらに、現在計画されている雲仙火山掘削や超深度科学掘削において、掘削中にビットが晒されるであろう温度履歴を、様々な条件(地層温度や入泥水流量・温度など)下で計算し、掘削方法選択における1つの指針を与えた。
|