前年度の研究で、円柱状爆薬の軸心起爆技術を用いて平滑な3種(0.14%炭素鋼、SUS304ステンレス鋼、S55C炭素鋼)の金属円筒(D_0-t-L:34-3-100mm)を超高速膨張させ、変形挙動を計測するとともに破片回収を行い、Gradyの分裂モデルに基づく検討を行った結果、大まかな破壊形態の推定に利用できることが分かった。本年度は、引続き円筒壁の形状効果(肉厚変化、スリット・溝加工)、軸方向移動起爆法との比較、分裂の数値解析について研究し、以下の結論を得た。 (1)切欠き円筒では爆轟ガスの噴出が最初から(スリット)または早期から(溝)であるが平均的な膨張速度は平滑円筒のそれとほとんど同じである。また平滑円筒と切欠き円筒の破片形状には大きな差異は無かったが後者においては切欠きを含む破片は、早期亀裂進展の応力緩和効果により、他の部分より大きかった。そしてこれら軸方向切欠きを軸対称2箇所に設けた追加円筒の場合においても上述の結果は同様であり、これらの挙動は高速膨張・破壊の特徴と考えられる。なお補足実験として行った周方向溝を2箇所に設置した円筒の爆発実験では溝加工は破片形成に影響を与えており、破片の平均的は軸方向長さが小さくなった。これらの結果は破壊形態の制御に対して有効に利用できる。 (2)SPH法の粒子数を変えることで強度確率性を表すこととし分裂挙動のシミュレーションを試みた。例えば14028粒子分割したスリット付き円筒の破片幅5.35mmは実験値5.67mmと近い。 今後さらに検討を続ける予定であり、破片解析から爆発状況推定する手法の確立を図りたい。
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