研究概要 |
(1)低炭素鋼、ステンレス鋼製の円筒(D_0-t-L:34-3-100mm)内に設置したPETN爆薬の中心軸を銅線爆発起爆させることで円筒を軸方向一様に周方向ひずみ10^4s^<-1>のオーダーで膨張・破壊させることができた。これらの変形速度は円筒剛性を無視したGurney式による予測値の0.55-0.93%であった。(2)超高速膨張変形と破壊の発生挙動について高速度カメラ観察と、Autodyn 2Dとで検討した。数値解析結果は観測結果を良好にシミュレートしており、両方の結果が乖離する時点での半径は破壊発生観測時の半径と対応していた。またステンレス円筒は応力基準が炭素鋼円筒はひずみ基準の破壊則が適すると考えられた。なお補足の容器モデルでは一様膨張円筒より膨張速度が少し遅く、端板溶接部の破壊までの変形量は若干大きい。(3)回収した爆発円筒の破片寸法データを統計的に調査した結果、肉厚効果(1.65,3,6mm)は顕著であり薄く変形速度が速いほど微細な短冊状破片になることが分かった。さらに円筒肉厚に関する修正項をGradyモデルに付加すれば統一的に破片寸法を予測することが可能であった。(4)切欠き(スリット・溝付き)円筒では爆轟ガスが最初から噴出するが平均的な膨張速度は平滑円筒のそれとほとんど同じである。また平滑円筒と切欠き円筒の破片形状には大きな差異は無かったが後者においては切欠きを含む破片は、他の部分より長かった。切欠きを軸対称2箇所に設けた追加円筒の場合においても上述の結果は同様であり、これらは高速膨張・破壊の特徴と考えられる。なお周方向溝を2箇所に設置した円筒の補足爆発実験では、破片の平均値は軸方向長さが小さくなった。(5)SPH法の粒子数を変えることで強度確率性を表すこととし分裂挙動のシミュレーションを試みた。例えば14028粒子分割したスリット付き円筒の破片幅は実験値に近い。
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