研究概要 |
本年度は,新しく開発した現場打ちコンクリートや永久型枠用モルタルの諸性状や製造法を検討した。 排出量が増大中の石炭灰やコンクリート塊の有効利用は急務で,建設投資削減でスラグの新しい用途開発も必要である。本研究では,環境負荷の高いセメントや天然骨材を全く使用せず,廃棄物のみからなる現場打ちコンクリートを開発するため,フライアッシュ,回収石こう,高炉スラグ微粉末・細骨材・粗骨材,路盤用再生粗骨材および水を使ってモルタルやコンクリートを製造し,これらの諸性状を調べた。その結果,通常のセメントモルタル・コンクリートと同じ方法で,廃棄物だけでも固まるモルタルやコンクリートが製造できた。このモルタルは,通常のものと比べ,材料分離抵抗性が高く,30N/mm^2以上の材齢28日圧縮強度が得られ,養生温度が高いと凝結が早まること,このコンクリートは,通常のものと比べ,再生粗骨材では強度発現が悪いがスラグ粗骨材を使うと20N/mm^2以上の材齢28日圧縮強度が得られること,これらは,彩度が材齢とともに変化し,フライアッシュ混入率を増すと,密度がやや落ち,流動性が増し,明度が下がることなども分かった。 永久型枠は,コンクリート構造物の品質向上,施工の合理化,環境への配慮などに有効な建設技術である。本研究では,一般構造物への利用を考えた作りやすいモルタル製永久型枠を開発するため,セメント,フライアッシュ,ビニロン繊維,活性水などでセメントモルタルを製造し,この諸性状を調べた。その結果,フライアッシュ多量使用のビニロン繊維補強モルタルは,通常のモルタルと比べ,流動性が低く,ブリーディングが若干多く,明度がやや小さく,密度が小さく,材料分離抵抗性が高く,圧縮・曲げ強度発現性が比較的良く,耐衝撃性が高く,早強セメントや蒸気養生は初期強度発現や白色化に有効で,適切なAE剤は空気連行性や流動性を高めること,練混ぜや養生に,酸化水や還元水を用いると,水道水と比べ,モルタルの流動性や圧縮強度が高まることなどが分かった。
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