研究概要 |
本研究は,地球規模でのエネルギー・環境問題,最大級の石炭火力発電所を有する地域性,施工会社と製品会社との共生などに配慮し,セメントや天然骨材を使用しない廃棄資源のみからなる現場打ちコンクリートと廃棄資源を有効利用したモルタル製永久型枠製品を複合化させたハーフプレキャスト工法を開発することである。 本年度は,昨年度の継続で廃棄資源のみからなるコンクリートや永久型枠用モルタルの化学的耐久性の検討,廃棄資源のみからなるコンクリートの初期硬度発現性の検討,廃棄資源のみからなるコンクリートに使用する補強材(鋼材,竹材)の検討などを行った。 まず,セメント,砕砂,フェロニッケルスラグ砂,フライアッシュ,ビニロン繊維,AE剤,高性能AE減水剤などで製造した永久型枠用モルタルと,フライアッシュ,高炉スラグ微粉末,脱硫石こう,高炉スラグ細骨材,高炉スラグ粗骨材,再生粗骨材などで製造した廃棄資源のみからなるコンクリートの耐薬品性を調べた。その結果,廃棄資源のみからなるコンクリートと比べて永久型枠用モルタルは,耐酸性が劣るものの耐硫酸塩性に優れているが,材料や養生の影響があることが分かった。 つぎに,廃棄資源のみからなるモルタルで,練混ぜ水(電解水・海水),エコセメント(結合材の5・10%),細骨材(高炉スラグ細骨材・再生細骨材)の使用や加熱養生(40℃・60℃)を行って凝結や強度などを調べた。その結果,廃棄資源のみかなるモルタルの硬化促進に対する電解水・海水,40℃加熱養生の有効性が確認できた。 さらに,高炉スラグ粗骨材や再生粗骨材を使った廃棄資源のみからなるコンクリートに埋め込んだ鋼材の腐食面積や自然電位,養生水に浸漬した竹材の強度や色を調べた。その結果,鋼材は自然電位が高いものの早期から腐食し,竹材は湿潤下での強度低下や色の変化があり,補強材として問題となることが分かった。
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