研究概要 |
昨年度ペチュニアW138の植物集団から選抜された、グルカナーゼ遺伝子PHPOGLU内に挿入突然変異のあった個体は、トランスポゾンの挿入位置が既知の配列の外側にあった。そのため、ゲノミックライブラリーを作製して、PHPOGLUのゲノミッククローン単離を行った。現在、塩基配列の決定を行っており、配列に基づいてトランスポゾンの挿入位置が決定される予定である。一方、ペチュニアW138の集団から得られたピンクの花弁を持つ雌性不稔はAnlがトランスポゾンのfoot printより部分的に機能を回復した植物であることが判明した。また、この、花粉はほぼ完全な稔性を持ち、正常型Anlを母本にすると花粉からAnl^<pink>が伝達されることも確認された。それにもかかわらず、anlのホモ個体にAnl^<pink>を交配してもAnl^<pin>kが後代の植物で確認されることはなかった。Anlが種子形成過程で胚や胚乳の成長に何らかの重要な役割を果たしていることが示唆された。 昨年度作成したイネの小胞子期の葯で特異的に発現する遺伝子Osc4,Osc6の形質転換体4系統(Osc4pro::senseOsc4,Osc4pro::antisenseOsc4,Osc6pro::senseOsc6,Osc6pro::antisenseOsc6)は雄性不稔性を示し,これらの後代を展開するには困難であったため,形質転換当代を株保存し再度雄性不稔性の調査を行った.いずれの形質転換体においても稔花粉率が平均で20%以下に減少するとともに,総花粉数が最大で95%減少していた.これらの形質転換体の葯を顕微鏡下で観察したが,非形質転換体と比較して極端な形態的差違を見いだすことはできなかったが,一部にタペート組織の異常が見いだされた.これらの形質転換体におけるOsc4,Osc6の機能を推定しこれらの遺伝子による雄性不稔性への影響を正確に評価するためには,電子顕微鏡による観察が必要であると思われる.
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