申請者らは我が国特用林産物の基幹作物であるシイタケLentinula edodesについて、203個のAFLP (Amplified Fragment Length Polymorphism)マーカーからなる連鎖地図を作製している。本課題ではその連鎖地図に発現遺伝子をマッピングし、マーカー密度、並びにマーカー間の連鎖関係の精度を高めることを目的として以下の結果が得られた。(1)シイタケcDNAクローンの塩基配列に基づいた遺伝子(cDNA)マーカー85個を作出した。(2)29個のcDNAマーカーを11連鎖群からなる既報のAFLP連鎖地図の7連鎖群に組み入れることができた。新しく作成した地図は、全長1907.7cM、平均マーカー間距離9.2cM・11連鎖群〔LG I (Linkage group I)、344.8cM、42マーカー; LG II、257.1cM、40マーカー; LG III、248.6cM、28マーカー; LG IV、216.1cM、25マーカー; LG V、207.1cM、26マーカー; LG VI、174.8cM、18マーカー; LG VII、168.4cM、19マーカー; LG VIII、129.4cM、19マーカー; LG IX、97.9cM、6マーカー; LG X、44.9cM、7マーカー; LG XI、18.6cM、4マーカー〕で構成された。(3)277個のcDNAクローン(平均塩基数、約1.2kb)の塩基配列について、データベースによる相同性検索を行った結果、約50%の配列が期待値E-value 1x10^<-10>以下の確立で既知配列と相同性を示した。以上の結果より、既報の連鎖地図の高密度化並びに解析制度の向上が図れたとともに、配列情報のあるcDNA由来の遺伝子マーカーは連鎖地図統合のアンカーマーカーとして利用可能であることから、本課題で作製した地図は今後のゲノム情報を利用した育種研究等への活用が期待される。
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