研究課題
近年西アフリカにおいて、アジアイネとアフリカイネの交雑によりネリカ(NERICA)が開発され、干ばつ抵抗性とされているが、乾燥条件下における反応性の違いについては十分明らかにされていない。本研究では、乾物生産と根の形質との関係について、アジアイネとネリカとの間で比較した。天水栽培において異なる反応を示すと考えられるイネとして、アジアイネの水稲・陸稲から13品種、ネリカから22系統、ネリカの親2品種の計37品種・系統を供試し、乾物生産と根の形質との関係について比較した。移植時と収穫時にサンプリングし、根を含む部位別の乾物重を測定した。また、根のサンプリング時には各品種・系統の最大根長と根径の測定を行った。収穫時の全乾物重と根重とにおいて、ネリカの系統間でも大きな差がみられた。収穫時の最大根長は、ネリカでは高い値を示す系統はみられなかった。収穫時の根径は、ネリカでは太い系統が多かった。収穫時における根重と全乾物重との関係において、アジアイネでは有意な相関がみられ、乾物重の高い品種では根重が高い傾向がみられた。しかし、ネリカの系統間では、乾物重の高い品種では根重が高いという傾向はみられなかった。収穫時における最大根長と全乾物重との関係において、アジアイネでは有意な相関がみられ、乾物重の高い品種は根長が高い傾向がみられた。一方、ネリカの系統間では両者間の相関はみられなかった。以上のように、アジアイネでは天水栽培下の乾物生産と根の形質との問に相関がみられたが、ネリカでは有意な相関はみられなかった。アジアイネの品種間と異なり、ネリカの系統間では、土壌水分変化による蒸発散と乾物生産との相関がみられなかったことからも、ネリカでは水利用効率の変異が大きく、ネリカの中には少ない水分吸収でも高い生育を示す系統があるもことが考えられ、乾燥地における長期的な栽培に適しているものと考えられる。
すべて 2004
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New directions for a diverse planet : Proceedings for the 4th International Crop Science Congress, Brisbane, Australia WWW.cropscience.org.au
日本作物学会紀事 73・別号2
ページ: 26-27