研究概要 |
極早生水稲品種とさぴかの不時出穂の発生を防止するための栽培技術的方策を検討するとともに,幼穂の分化程度を異にするとさぴかの苗を移植して,移植後の本田の生育と収量・玄米品質への影響について検討した. 実験(1)播種からの有効積算温度(基準温度10℃)が150℃日,200℃日,250℃日に達した苗を地際から高さ6〜7cmで勇葉処理を行い,播種から300℃日における苗の生育と幼穂の発育程度を調査した.その結果,剪葉処理により300℃日における苗の幼穂分化は防止できなかったが,無処理区と比較すると,播種から150℃日,200℃日時に剪葉した区では,幼穂長が短くなり,幼穂の分化・発育をある程度抑制できることが明らかとなった. 実験(2)株播きポットで育苗したとさぴかとキタアケの中苗と成苗を本田に移植し,移植後の生育,出穂期,収量,収量構成要素および玄米品質について調査した.その結果,両品種の成苗では幼穂が分化しており,移植後30〜32日目に主桿が出穂し,主桿出穂から分げつ出穂までの日数が約20日間と長くなった.また,移植時に幼穂が分化していなかった中苗に比べて穂数は多くなるが,1穂籾数が減少して面積当たり籾数が少なく,さらに登熟歩合が低下し,減収すること,青米が増加して玄米品質も劣ることも明らかとなった. 実験(3)不時出穂が発生しやすいと推定される5月以降,すなわち5月14日(播種I)と31日(播種II)に一般の育苗箱に播種し,30℃,2日間で出芽後,屋外で管理した.播種Iでは播種からの有効積算温度147,196,313℃日,播種IIでは同176,254℃日まで養成した苗を水田に移植した.その結果,播種から196℃日以上養成した苗では移植時に幼穂分化が確認された.また,これらの苗では最終主桿葉数が少なく,主桿出穂日と分げつ出穂日の差が大きく、正常出穂個体割合が低かった,
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