研究概要 |
スカシユリ‘Montrex'から3種のカルコン合成酵素遺伝子(LhCHSA, LhCHSB, LhCHSC)と1種のジヒドロフラバノール4-還元酵素遺伝子(LhDFR)遺伝子のcDNAを単離し、これらの遺伝子の器官別・時期別発現を‘Montrex'(ピンクで斑点を持つ)と‘Conneticut King'(黄色で斑点を持たない)の2品種で調査した。ピンク色の花被はアントシアニンを、黄色の花被はアントシアニンを持たない。花器官では、3種のCHS遺伝子は‘Montrex'のアントシアニン着色した花被・花糸・花柱と‘Conneticut King'の着色していない花糸・花柱で発現した。着色した葯は両品種でLhCHSCのmRNAのみを蓄積した。LhDFRは‘Montrex'の着色した花被・葯・花糸・花柱と‘Conneticut King'の着色した葯で多く発現した。 スカシユリの花被におけるカロテノイド着色の遺伝的背景を明らかにするため、‘Montrex'と‘Conneticut King'の交配由来のF_1植物間のカロテノイド含量の分離と、以前に構築した‘Montrex'と‘Conneticut King'の分子連鎖地図上にカロテノイド着色の遺伝子座をマッピングした。F_1植物間のカロテノイド含量は連続分布し、いくつかの遺伝子がこの形質に関与していることを示した。量的形質遺伝子座(QTL)解析は‘Montrex'地図の第6連鎖群上に一つのQTL qCARmon6を同定した。qCARmon6は全表現型の58.2%を説明し、この遺伝子座はカロテノイド蓄積に大きな効果を持つ。
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