研究概要 |
高度に育種を受け,野生における原種と大きく異なった形態を持つ観賞植物について種子生産に適した形態を栽培時に実現する目的で実験を行った.本年はシネラリア,プリムラ,パンジーについて種子生産機構,花序と葉序の形態の特性について調べた.シネラリアでは花序の頭状花数が最大になった時点で葉序が花序により大部分被覆されてしまい,太陽光の受光に障害が見られた.被覆の状態については現在研究が進行中である.また花序自体のresourceの消費が大きく,植物体の花序の負担が大きいと考えられた.花序のつぼみを開花前に摘除することによる植物の反応については現在実験が進行中.プリムラにおいては葉序自体が弱小でそれに対して花数が多く,花序の負担が大きいと考えられる.プリムラにおいては花序自体が非常に込み合った状態で形成され,授粉媒介者がアクセスできない花が見られた.花序が最大になる時期には受光において障害が出てくると考えられた.花序を開花前に摘除した場合の反応についてはプリムラの場合は葉序が大きく繁茂する傾向は見られなかった.パンジーについては開花が少しずつ長期に渡るため,花序が最大になる時点の特定が難しい.花序が受光に及ぼす影響は大きくないと考えられる.花序摘除に対する反応については最もその効果が大きく,花序摘除した植物では花を自由に咲かせた植物に比べ明らかに葉序が大きくなる傾向が見られた.パンジーの花を全て人工授粉した場合と開花時に柱頭を除去して種子の稔実を阻止した植物の間では葉序の大きさに大きな差は見られなかった.これらの処理の開花数に対する影響は現在実験が進行中である.
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