研究概要 |
1.2品種のビオラの生殖の特性について検討した.開花期間は受粉,未受粉に関わらず約10日でやくは時間差をおいて開裂し,花弁の展開時には60%のやくが開裂して花粉が放出されていた.柱頭上での花粉発芽率は2品種それぞれ46%,37%で開花後10日の花粉でも開花当初と変わらない発芽率が示された.雌ずいの種子生産が可能な期間を調べるため,除雄あるいは人工授粉した花の開花日数を測定あるいは除雄後日数を変えて受粉した花の稔実率を測定した.両品種とも除雄,受粉した花共に完全に展開した日から10-11日後に花弁の萎凋が見られた.除雄後日数を変えて受粉した実験では完全に花弁が展開した日の受粉では30%台の稔実率で,除雄して,完全な展開後10日を経て受粉した花においては20%前後の種子の稔実が見られた.開花時に30粒の花粉で受粉した花を日数を変えて再度30粒あるいは十分量の花粉で受粉し,稔実を見た実験より,果実が肥大を始めた後でも受粉すれば受精が可能と考えられた.放任,防虫ネット被覆の植物体の種子稔実状況よりビオラの種子生産には受粉昆虫の幇助が必須と考えられた. 2.2品種のビンカパシフィカレッド','クーラーペパーミント'について放任,つぼみ除去,花を全て人工授粉の処理区を設け,開花後60日に渉り開花数,種子生産について検討した.開花数は品種により差が見られたが2次関数に適合して増加した.摘除つぼみ数は両品種とも開花数より多くなった.品種により放任より人工授粉で開花数が多くなった.種子生産状況については'パシフィカレッド'は放任では着果率は78%で1果実当たり24個の種子,個体あたり4550の種子を収穫した.人工授粉では着果率は89%で1果実当たり28個の種子,個体あたり5800の種子を収穫した.'クーラーペパーミント'については放任では着果率は72%で1果実当たり32個の種子,個体あたり6980の種子を収穫した.人工授粉では着果率は88%で1果実当たり36個の種子,個体あたり8110の種子を収穫した.いずれの品種においても1次側枝数,地上部新鮮重は処理による差は見られなかった.
|