研究概要 |
1.プリムラ・ポリアンサの種子生産機構について調べた.両ずい柱型とも受粉受精の有無に関わらず花は20日咲き続けた.開やくは開花1-2日後に起こった.花あたり100以上の胚珠を有していた.雌性については両花柱型とも花弁が90°に展開した段階の花からその後20日以上種子生産が可能であった.雄性については開やく前の花粉でもあるいは開花後20日以上経た花粉においても種子生産力があったが,開やく前の花粉で受粉した場合,開やくしたやくから得た花粉で受粉した場合より稔実率は低かった.異型ずい柱間の人工授粉では90%以上の稔実率が見られた.長花柱花の自家受粉では高い稔実率が得られたが他花受粉では稔実率は低かった.短花柱花の自家受粉,他花受粉ではほとんど稔実は見られなかった. 2.パンジーにおける開花と種子稔実の負担を調べるため開花前の柱頭摘除,開花した花を全て自家受粉,同様に受粉後に花弁のみ摘除,つぼみ摘除の4通りの処理を行った.積算開花数は両品種とも全ての処理において開花後日数と共に2次関数に適合して増加した.開花始めから60日までの総開花数はいずれの品種においても受粉後花弁を摘除した個体で有意に多くなった.一方雌ずいを除去した個体と全花を受粉した個体では有意な差はみられなかった.両品種とも1次側枝数はつぼみ摘除で多く,全花受粉で少なくなった.2次側枝数はつぼみ摘除で多くなった.地上部新鮮重はつぼみ摘除で大きく,受粉後花弁を摘除した個体ではつぼみを摘除した個体と有意な差はみられなかった.投影面積は両品種とも処理間で差はみられなかった.BP,MBそれぞれ花当たり'53.5±9.3(平均±SD),63.5±12.2の胚珠を持っていた.いずれの品種においても受粉後花弁を摘除しない個体において着果率は高くなり,総種子数はMBでは全花受粉で他の処理に比べ有意に多くなった.MBにおいては総種子数,果実当たり稔実種子数は花弁を摘除しない個体で多くなった.
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