クラブアップルはバラ科リンゴ属植物で、観賞用庭園果樹として特に欧米で愛好されている。多くの品種・系統があり、一部は食用とすることが可能だが、そのヒトに対する栄養価や生理活性については、まったく報告がなかった。クラブアップルには豊産性の品種もあり、品種数の多さと果実の生産性を考え合わせると、単に観賞用だけでなく、その他の利用の道が開かれることは有意義と考え、クラブアップル果実の生活習慣病に対する予防効果を中心として探索した。ヒト前骨髄性白血病細胞HL-60を用いた増殖抑制試験において、検索した約40種類はほとんどすべてに強い増殖抑制活性がみられた。抗酸化性との関連を検討するためクラブアップルジュースのDPPHラジカル消去能を測定し、総ポリフェノール量の場合と同様に、HL-60増殖抑制と比較的高い相関があることが分かった。これらの結果をまとめて現在英文食品科学学術雑誌に投稿中である。抗酸化能を持つ化合物はフェノール類では紫外吸収により検出できるので、高速液体クロマトグラフィーにより成分分析を行い、成分量と活性の相関について検討している。また、活性を指標とした有効成分の精製では複数の活性物質の存在が示唆されており、これらの結果を合わせて、活性成分の同定を進めている。活性試験として、肥満や糖尿病の指標となる細胞系での活性試験も行い、HL-60増殖抑制とは異なった品種に活性が見出されているので、これについても有効成分の探索を開始している。また、市販の生食用リンゴと比較したところ活性を示したものは少なかっが、さらに詳細に検討したところ、品種間で活性に差異があることが示唆されたので、リンゴ品種とHL-60増殖抑制、さらにその有効成分の解明を現在詳細に検討中である。
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