研究概要 |
本研究では青果物の最適CA(MA)貯蔵条件を明らかにするため、先ず青果物の低酸素障害の様相を調査した。その結果、ピッティング、変色、組織の水浸状化、異臭が認められた。そのうち、異臭が顕著な低酸素障害であり、低酸素に対する耐性を規定する要因となることを見出した。次に、青果物のCA貯蔵中のアルコール発酵の様相についてピーマンをモデルに用いて、貯蔵酸素濃度を変えて調べた。アセトアルデヒド(AA)およびエタノール(EtoH)含量は、0%O_2下で共に増加し、EtoHはAAより多かった。ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)とアルコール脱水素酵素(ADH)の活性は、1%O_2下で共に増加した。次いで、ピーマンをモデルに低酸素条件下とその解除後のアルコール発酵と抗酸化機構の様相について調べた。CO_2排出量は0%O_2下で抑制されたが、解除後に急増したのに対して、1%O_2下では解除後も抑制された。AAおよびEtOH含量は1%O_2下で解除後も当初のレベルを維持したが、0%O_2下では増加し,解除後は徐々に減少した。PDCおよびADH活性は0%O_2下で解除後も当初レベルを維持したが、1%O_2下では増加し、その解除後も高レベルを維持した。抗酸化機構はスーパーオキシドジスムターゼの活性が1%O_2下で解除後も当初レベルを維持したのに対して、0%O_2下では抑制された。また、ピーマン果実以外にニホンナシ、トマトおよびニラについても貯蔵増酸素濃度を変えて、アルコール発酵の様相を調査した.その結果、AAおよびEtOH含量は、0%O_2下で増加し、EtOHはAAより多かった。PDCとADHの活性はニホンナシおよびニラでは1%O_2下で、トマトは3%O_2下でいずれも共に増加した。次に、青果物のCA貯蔵中のアルコール発酵の様相および呼吸代謝についてニラを用いて、高CO_2と空気との組合せのガス条件下で調べた。30%CO_2下でEtOHが増加したが、AAや酵素活性に変化はなかった。しかし、高CO_2処理でピルビン酸含量の一時増加が認められ、その程度はCO_2濃度に比例した。一方、コハク酸脱水素酵素は高CO_2処理により活性が抑制され、その程度は処理濃度に比例した。
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