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2003 年度 実績報告書

照葉樹里山における植生回復過程と台風による大規模撹乱がもたらす種多様性維持効果

研究課題

研究課題/領域番号 14560029
研究機関大阪府立大学

研究代表者

前中 久行  大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80081553)

キーワード照葉樹林 / 里山 / ギャップ / 攪乱 / 根返り / 林床植生 / 森林更新 / 長期継続調査
研究概要

約90年以上の期間にわたって植生遷移にゆだねられてきたコジイを優占種とする照葉樹において、台風による根返りが多数発生した。根返り発生後10〜12年を経過した時点での根返りおよびその周辺での植生および林床樹木サイズを調査測定し、根返りが照葉樹林の林床に与えた影響を把握した。あわせて、根返り発生以前から行われている長期継続調査資料との比較によって森林の動態に及ぼす台風による大規模な攪乱の影響および効果について考察した。
44ケ所の根返りを測定した。過去の成長記録をもつ36個体の根返り樹木のうち21個体は、根返り発生後10年以上経過した現時点で成長を続けている。根返りのマウンド部分を、マウンド前部、トップ、ピット、ピット淵の微地形に区分しそれぞれに出現した植物種を比較した。コジイ、ヒサカキ、フユイチゴ、チヂミザサ、アカメガシワなど43種が出現した。微地形による差は明らかではなく、森林に攪乱が生じたときに埋土種子から発生するとされているカラスザンショウやアカメガシワなど先駆植物は、いずれも根元30cmにおける幹直径が0.5cm以下で、将来的にも低木層あるいはそれ以上の階層へは達しえないと思われる。いっぽう、根返り周辺に存在した前生稚樹の中には、幹直径の相対成長率が0.2/year以上の個体もあり、ギャップ形成以前の0.02/yearと比較して、林冠ギャップが形成された場合に林内に待機していた稚樹の内あるものの成長は促進される。成長が促進された個体とそれ以外について、上層の樹幹天空率を測定し比較したが、天空率が極めて局所的な変動するため、成長の差を天空率からは説明できなかった。根返りの発生は、根返り部分そのものではなく、その周辺の中径木が将来的に林冠木となる可能性を与えるという側面で、森林の更新過程を加速する効果を及ぼすことが明らかになった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 田端敬三, 橋本啓史, 森本幸裕, 前中久行: "糺の森におけるクスノキおよびニレ科3樹種の成長と動態"浩園学会誌ランドスケープ研究. 57・5(受理済). (2004)

  • [文献書誌] 村上健太郎, 前中久行, 森本幸裕: "生殖様式,受精様式の違いが都市林の同型胞子シダ植物の分布に及ぼす影響"日本緑化工学会誌. 29・1. 15-20 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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