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2004 年度 実績報告書

照葉樹里山における植生回復過程と台風による大規模攪乱がもたらす種多様性維持効果

研究課題

研究課題/領域番号 14560029
研究機関大阪府立大学

研究代表者

前中 久行  大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80081553)

キーワード照葉樹林 / 里山 / ギャップ / 攪乱 / シミュレーション / 森林更新 / 長期継続調査 / 個体群動態
研究概要

コジイを優占種とする照葉樹林が、台風による大規模攪乱をうけ倒木や根返りが発生し、林冠が疎開した状態となった。そこで、大径木(胸高直径4.5cm以上)および中径木(同1.0cm以上)の胸高直径を測定し、攪乱発生以前から行われている長期継続調査の資料と比較し、個体群の予測モデルを作成することで、台風による攪乱が森林の植生遷移と動態に及ぼす影響および効果を検討した。
台風による攪乱をうける以前にはコジイが圧倒的に大きく、また、倒壊あるいは根返りした樹木のほとんどはコジイであったが、攪乱後も相対的にはコジイが優占種であった。コジイ、タブノキ、カシ属5種およびイスノキの大径木について、直径階別に直径成長率を比較した。その結果、攪乱の前後でコジイとタブノキの成長率に差は認められなかった。いっぽう、カシ属およびイスノキの成長率は、攪乱による林冠の疎開後に著しく高くなったが、コジイ、タブノキの成長率とほぼ同じであった。樹種別、直径階別、当該樹木に隣接しかつその樹木よりも大きな樹木の胸高断面積階別での直径相対成長率と枯死率にもとづいて、調査プロットに含まれる全ての樹木個体の20年後までの成長予測を行った。その結果、2024年には、カシ属樹木の胸高断面積が最大になると予想された。さらに時間の経過後はイスノキが最大になると予想された。ただし、20年後の優占種を左右するのは、攪乱によって除去された優占種コジイの除去量と攪乱時に損傷を受けずに残存した樹木の個体群構成である。台風による攪乱によって林冠上層を構成する樹種が結果として選択的に除去されることで、樹種の転換が早められることが明らかになった。また、攪乱発生時に存在した中径木以下の樹木の成長率は、一時的には高くなるが、短期間で上層が再び閉じるために、中径木が将来林冠まで達する確率は極めて低いことが明らかになった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Factors influencing species diversity of ferns and fern allies in fragmented forest patches in the Kyoto city area2005

    • 著者名/発表者名
      Murakami K., Maenaka H., Morimoto Y
    • 雑誌名

      Landscape and Urban Planning 70・1

      ページ: 221-229

  • [雑誌論文] 都市内新規人工林における成長量の指数分布モデルによる稚樹のサイズ分布の動態シミュレーション2005

    • 著者名/発表者名
      田端敬三, 森本幸裕, 前中久行
    • 雑誌名

      日本造園学会誌ランドスケープ研究 68・5(受理済)

  • [雑誌論文] 下鴨神社糺の森において樹木の枯死に隣接個体が与える影響2004

    • 著者名/発表者名
      田端敬三, 橋本啓史, 森本幸裕, 前中久行
    • 雑誌名

      日本緑化工学会誌 30・1

      ページ: 27-32

  • [図書] 生態学からみた里山の自然保護(草原の自然保護の項を分担執筆)2005

    • 著者名/発表者名
      前中久行
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      日本自然保護協会

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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