研究概要 |
カリヤコマユバチの加害植物揮発成分に対する反応は、Takabayashi et al.(1995)によって明らかにされ、誘引に関わる成分の候補が提示されたが、その中のどの成分が活性に関わるかは明らかにはされていなかった。その後、候補物質の中からいくつかの成分を選択しその組み合わせを、未加害葉ブレンド、加害葉ブレンドに分けて比べると、両者を合わせたものの活性が高いことがわかった(Fukushima et al.,2002)。その後の研究では、活性成分を特定するまでには至っていないが、今後EADを用いた分析を行い、活性成分を特定する予定である。また、カリヤコマユバチが植物成分を連合学習し(Fukushima et al.,2001)、その学習効果は産卵行動と深く関わっていることが今回の研究成果からわかった。また、今回の研究成果から、植物葉の齢期が誘引に影響することも明らかになった。今後、誘引活性成分の分析と学習行動をさらに解析することで、植物揮発性成分に対する反応をさらに理解できると思われる。 ブランコヤドリバエの寄主発見には、接近したのちは寄主の物理的性質(Tanaka et al.,1999;Yamawaki et al.,2002)や糞のにおい(Tanaka et al.,2001)が定着因子として重要であるが、数メートルの近距離からの誘引には寄主によって加害された植物揮発性成分が重要であることが我々の研究からわかっていた(Kainoh et al.,1999)。しかし、その活性成分の分析は進んでおらず、成分の特定はできていない。EAD法で成分分析する基礎として、EAG法によるハエ触角の反応を調べてみた。その結果は、雄雌共に、植物抽出物に反応し、雌の加害植物への誘引を証明するものではないが、この後EADを行い成分ごとの反応を調べることで雌の寄主発見にかかわる成分を特定できるものと思われる。
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