研究課題/領域番号 |
14560035
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小林 勝一郎 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (40087606)
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研究分担者 |
沈 利星 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (30272157)
臼井 健二 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (80087585)
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キーワード | 除草剤 / 残留性 / 残効性 / 雑草 / 土壌 / 土壌水 / 土壌吸着 / 溶存態濃度 |
研究概要 |
本研究は、土壌中における除草剤の存在を形態別(溶存態および吸着態)に分けて経時的に定量し、それらの経時的変動と残存性との関係、さらには、除草剤の残留性や残効性発現に対し、土壌や雑草の特性がどのように関与しているかを明らかにすることを目的として実施している。 昨年度は、土壌中における除草剤の代謝分解が殺草活性の低下に至るものについて、検討したが、本年度は、代謝分解が、その除草剤の活性化につながるものについても検討した。得られた成果は以下のように要約される。 1.ナプロアニリドの殺草活性は、加水分解物によって生成されるNOPに起因し、殺草活性の土壌間差は、土壌との吸着能および加水分解能によって支配される土壌水中における溶存態NOP濃度に依存して発現した。 2.NOPの土壌水中溶存態濃度は、1ヶ月程度は経時的に増加したが、ナプロアニリドの溶存態濃度は、いずれの時期においても検出限界以下である等の結果から、本剤の残効性はNOPの溶存態濃度によって決定されていることが明らかとなった。また、供試土壌のいずれにおいても、本剤のNOPへの加水分解は急速に進行するが、NOPの分解はきわめて遅く、このことが本剤の残効性が長く保持されていることの要因であることが示された。 3.クミルロンのクログワイに対する殺草活性は、塊茎から発生し土壌表層に存在する萌芽茎基部と根部による吸収によって発現するが、塊茎の存在位置により萌芽茎の土壌表層への到達日数が異なり、これにより、土壌中における塊茎の存在位置によって残効性が変動することが示唆された。 4.これらの結果より、土壌中における除草剤の残効性は、施用された除草剤あるいは代謝分解によって生成された活性体の土壌水中における溶存態濃度を支配する土壌要因を主因とし、これに標的雑草の出芽速度等の植物的要因が関与して発現しているものと想定される。
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