1.キハダとゲッキツの成分分析方法の検討 広島県戸河内町および長野県大町市においてキハダ葉の採取を行った。また沖縄県石垣島などにおいてはゲッキツ葉の採取を行い、それぞれ数百g-数Kgを確保した。メタノール浸漬法(室温、約一ヶ月)により両植物から含有成分の抽出を行った。成分の分画方法としては、クロロホルム、次いでイソブタノールによる液-液分配抽出、CHP-20Pポリマーゲルを用いたカラムクロマト、CMおよびQMAゲルを用いたイオン交換クロマト、シリカゲルTLC分取、逆相HPLC分取などの手法をうまく組み合わせることにより、含有成分の単離が可能であると考えられた。さらに単離成分の構造決定には、元素分析、NMR法、MS法などの汎用手法がほぼそのまま(誘導体化処理を行わず)適用できることが判明した。 2.クロアゲハとシロオビアゲハの植物に対する産卵および摂食応答性評価方法(生物試験)の検討 雌の産卵試験には緑色のプラスチック製人工葉を用い、0.5%濃度に調製した被検試料溶液に短時間浸漬して塗布する方法が最も容易であるが、マイクロシリンジにより一定量塗布する方法も場合によっては必要と考えられた。雌を透明容器内で自由に飛翔させた状態で人工葉を提示し、各種の応答行動にスコアー値を設定してその平均値をもって産卵反応率とするのが最良と考えられた。一方、幼虫の摂食試験については、1齢および5齢の各齢においてそれぞれ次のステージへの到達率を調べることで、各植物の適合性や幼虫の適応度の概略が評価できるものと考えられた。また、各チョウの累代飼育法については、クロアゲハは16L-8Dの長日条件下で飼育すればほぼ問題ないが、シロオビアゲハについては長日条件下でも夏季に休眠に入る個体が多く、この点をどのように解消するかが来年度の検討課題として残った。
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