大分県は日本有数のシイタケ栽培地であるが、近年細菌性の腐敗病が多発生し問題となっている。この腐敗原因菌については著者らが明らかにしてきたがその発生生態に関してはほとんど検討されていない。そこで、シイタケ子実体腐敗原因菌のシイタケ栽培環境からの検出を試みた。その結果の概要は以下の通りである。 1.シイタケ栽培環境に生息する昆虫の病原細菌保菌:原木を加害するハラアカコブカミキリおよび子実体を加害するハエ類の病原細菌汚染について調査した。その結果、3地点から採取したハラアカコブカミキリの蛹、幼虫、成虫からシイタケ腐敗原因菌の1種Erwinia sp.が検出された。Erwinia sp.はハラアカコブカミキリが食害した原木組織周辺部からも検出でき、食害によってハラアカカミキリの体に付着あるいはアラアカカミキリから原木組織に病原菌が伝搬するものと思われた。また、子実体腐敗症の発生している3ケ所のほだ場から採取したハエ類のうち、2カ所のほだ場から採取したハエ類からPseudomonas tolaasiiが検出された。P. tolaasiiは主としてガガンボダマシから検出され、その他からは検出できなかった。 2.野生きのこからの検出:野生きのこ59個体について検出を試みた結果、P. tolaasiiは2個体から、Erwinia sp.は15個体から検出された。 3.土壌からの検出:ほだ場土壌9点について検出を試みた結果、P. tolaasiiは1地点から、Erwinia sp.は3地点から検出された。 4.かさ木からの検出:かさ木からはErwinia sp.のみが10地点のうち3地点から検出された。
|