研究概要 |
1)ダイズ根粒ミトコンドリア及び根粒バクテリア分化のプロテオーム解析を行った。根粒ミトコンドリアの場合は二次元電気泳動の結果、465スポット(根粒ミトコンドリア)と383スポット(根ミトコンドリア)を検出し、それぞれのスポットについてPMF法、エドマン分析法によるN末端アミノ酸分析を行いタンパク質の同定を行った。その結果、根ミトコンドリアに比べ根粒ミトコンドリアで発現が上昇している7個のタンパク質、逆に減少している8個のタンパク質を同定した。また根粒ミトコンドリアで発現が完全に抑制されていた6個のタンパク質も同定した。これらのタンパク質の共生代謝での役割を考察した。ダイズ根粒バクテロイドとfree living cellsについても同様にプロテオーム解析を行い、バクテロイドで発現が増幅する62個のタンパク質を同定した。 2)ゲノムレベルの遺伝子、タンパク解析を行うための帰属データを得るためかずさDNA研究所、河内研と協力してミヤコグサ根粒組織で発現するESTクローンの5'シークエンスを昨年に続き行った。 3)根粒細胞内オルガネラへのタンパク移送を司るSNARE遺伝子解析を行った。SNAREのひとつであるSn6遺伝子に着目し、この遺伝子の機能解析を目的としてアンチセンス、センス形質転換体を作製した。 アンチセンス個体の根粒では非形質転換体の根粒に比べSn6遺伝子はmRNA,タンパク質レベルで減少していることを確認した。一方センス個体の根粒のSn6遺伝子は非形質転換体に比mRNAレベル、タンパク質レベルで増加している個体を作製することができた。Sn6遺伝子の発現を減少させたアンチセンス根粒の形態が異常になっているものも観察された。
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