研究概要 |
1.Cd耐性能付与カラシナの次世代種子の採取:重金属耐性遺伝子として酵母由来のMetallothionein(MT)合成遺伝子CUP1を導入したカラシナ13系統を栽培して自殖種子を得た。この次世代種子を無菌発芽させた幼植物を栽培し、Leaf Disk法によってCd耐性能を評価した結果、4系統でCd耐性能が発揮された。次年度は、この種子をCd汚染土壌で栽培し、Phytoremediationへの利用への可能性を検討する。 2.MT合成遺伝子CUP1導入ケナフの作成とCd耐性能の評価:将来の輪作体系構築を考慮し、前述のカラシナと作季が異なるケナフにもCUP1遺伝子を導入して重金属耐性能を評価した。遺伝子導入ケナフ再生個体23株を作成し、各株についてCd耐性能を水耕法で検討した結果、最も高いCd耐性能を示したT19株は、Cd200μMでも枯死せず、体内Cd含量が2,300mgKg^<-1>となった。この株を挿し木によって栄養繁殖させたクローンを多数増殖させ、その一部についてLeaf Disk法によってCd耐性能を検討した結果、やはりCd耐性能が示された。今後、この苗の増殖と、導入遺伝子の発現量の検討および将来の圃場試験に備えて実質同等性の検討を行う。 3.重金属耐性能の強化に関する検討:Cysteineはそれ自体が重金属を無害化するとともに、MTの主要構成アミノ酸である。そこで、MT合成遺伝子を導入した植物に、Cysteine合成酵素であるo-Acetylserine(thiol)lyase(CSase)を合成する遺伝子CS3Fを導入して過剰発現させれば、重金属耐性能の強化が可能と考えた。そこで、まずケナフにCS3Fを導入してCysteine合成能の高い植物の作成を試みた。ケナフ138株にCS3Fを導入し22株を選抜し、さらにRT-PCRによる導入遺伝子発現量のCS21を選抜した。このCS21のCSase活性はWildの約10倍の酵素活性を示し、しかも恒常的に酵素活性が高いことが明らかとなった。今後、このCS21について、その重金属耐性を評価すると共に、この株にCUP1遺伝子の導入を行う予定である。
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