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2003 年度 実績報告書

新しい神経栄養因子・分泌型ホスホリパーゼA_2に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14560058
研究機関東京大学

研究代表者

有岡 学  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (20242159)

キーワード分泌型ホスホリパーゼA_2 / 神経栄養因子 / L型カルシウムチャネル / アポトーシス / PC12 / 小脳顆粒細胞 / 神経突起伸長
研究概要

報告されている約10種類のマウスsPLA_2のうち、代表的なグループIB、IIA、V、XをRT-PCRによりクローン化した。おのおのをCOS1細胞で発現させ培養上清のPC12細胞に対する作用を検討したところ、グループVとXにのみ突起伸長誘導活性が認められた。上記4種類のsPLA_2のうち脳での発現が認められ、またホスファチジルコリン(PC)分解活性を有するのはこれらのみであることから、これらが神経系の組織で特有の機能を果たしていることが示唆された。
次に小脳顆粒細胞(CGN)のアポトーシスに対するp15の作用を検討した。CGNはその生存に高濃度K^+による脱分極刺激を必要とし、低K^+培地ではアポトーシスにより死滅する。このCGNの細胞死は種々の神経栄養因子により抑制されるが、p15によっても他の神経栄養因子と同等あるいはそれ以上に抑制された。sPLA_2の作用の詳細を調べるため、アラキドン酸やエイコサノイド類の関与を調べたが、何れもPC12の突起伸長、CGNの細胞死抑制に関与しなかった。一方、種々のリゾリン脂質の効果を検討したところ、PC12細胞に対してはLPCのみ、CGNに対してはLPCとスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)のみが顕著なCa^<2+>依存的な突起伸長促進効果あるいはアポトーシス抑制効果を示した。実際、p15処理によってPC12とCGNからLPCが遊離すること、脂質を結合するアルブミンやLPCを分解するホスホリパーゼBの存在下ではp15の効果が抑制されることを確認した。さらに、LPCやSPCをリガンドとするGPCRがPC12細胞やCGNで発現していること、p15処理でG2Aのリガンド応答(エンドサイトーシス)が起こること、G2Aを高発現する安定的形質転換PC12細胞株ではp15による突起伸長が促進されることを見出した。以上の結果から、「sPLA_2→LPC産生→LPC受容体活性化→→L型Ca^<2+>チャネル活性化→→神経突起伸長・生存維持」の経路で情報伝達されることが強く示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Nakashima, S., et al.: "Secretory phospholipases A_2 induce neurite outgrowth in PC12 cells."Biochem.J.. 376. 655-666 (2003)

  • [文献書誌] Juvvadi P.R., et al.: "Functional analysis of the calcineurin-encoding gene cnaA from Aspergillus oryzae : evidence for its putative role in stress adaptation."Arch.Microbiol.. 179. 416-422 (2003)

  • [文献書誌] Nakashima, S., et al.: "Identification and characterization of Scp15,a protein from Streptomyces coelicolor A3(2) inducing neurites in PC12 cells."Biosci.Biotechnol.Biochem.. 67. 77-82 (2003)

  • [文献書誌] Oka, M., et al.: "Molecular cloning and functional characterization of avaB, a gene encoding Vambp/Vps39p-like protein in Aspergillus nidulans."FEMS Microbiol. Lett.. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] Jin, F.J., et al.: "Adenine auxotrophic mutants of Aspergillus oryzae : development of a novel transformation system with triple auxotrophic hosts."Biosci.Biotechnol.Biochem.. (印刷中). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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