枯草菌のようなグラム陽性菌の細胞壁は外側からタンパク質の層、テイコ酸の層、ペプチドグリカンの層から構成されている。今回の研究対象であるN-acetylmuramoyl-L-alanine amidase(アミダーゼ)はペプチドグリカンのN-アセチルムラミン酸とL-アラニンの間のアミド結合を加水分解する酵素であり、活性ドメインとは別に細胞壁結合ドメインを持つ。しかしその機能及び構造についてはデンプン、セルロース、キチン・キトサンを基質とする酵素のそれと比べるとほとんど分かっていない。本研究ではアミダーゼの立体構造を明らかにするばかりではなく、ペプチドグリカンヘの結合メカニズムや局在性の仕組みの解明を目指した。 繰り返し部分のディレーションミュータントの細胞壁への結合能を調べたところ、繰り返し配列が2つあることが必要であることがわかった。^<13>C-glucoseと^<15>NH_4Clで標識したCwlCrを用いて主鎖の帰属、二次構造の同定を行い、CwlCrが約35残基からなる二回繰り返し配列から構成されるペプチドで、繰り返し配列の基本単位が二本のβ-ストランドと一本のα-ヘリックスから構成されていることを明らかにした。構造精密化を進めることにより非常に高分解能の立体構造を決定することが出来た。his-tag付きのCwlCr21のきれいなHSQCスペクトル(NMR)が得られました。
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