研究課題/領域番号 |
14560062
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
長澤 透 岐阜大学, 工学部, 教授 (60115904)
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研究分担者 |
満倉 浩一 岐阜大学, 工学部, 助手 (70324283)
吉田 豊和 岐阜大学, 工学部, 助教授 (90220657)
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キーワード | ロジン / オイゲノール / ニコチン / イソオイゲノール / リニューアブル資源 / 微生物反応 / フェルラ酸 / バニリン酸 |
研究概要 |
従来の化石燃料に依存した化学工業を脱却し、将来的に持続して供給可能なリニューアブル資源を利用したバイオプロセスを化学工業に取り入れることを本研究の目的とした。我々はポテンシャルの高い余剰資源として、ロジン、オイゲノール、イソオイゲノールを取り上げた。これらの化合物は自然界に潤沢に分布し、安価で安定した供給が可能である。とりわけロジンは松樹林を伐採することなく植林しつつ樹液を採集することによって得られ、既にそのものの形で世界で年間100万トンが実際に使用されているベージック化学素材である。これらの資源に微生物反応による分子修飾を加え、新しい機能を附与し、より広汎な有用、有効利用を図ることを目的とした。特に位置特異的あるいは光学特異的水酸化反応は、従来の有機合成化学の苦手とする反応であり、微生物の水酸化反応は、温和な条件下で作用し、水酸基を導入することによって分子機能性を向上させ、広汎な応用が期待される。微生物変換によるリニューアブル資源の分子高機能化を本課題の目的とした。 1.ロジンの微生物変換:ロジンの水酸化反応を触媒する細菌、カビを分離し、反応生成物を単離し、構造決定をした。反応生成物の構造決定を行い、新規化合物を微生物反応によって調製した。新規の微生物水酸化反応を明らかにし、変換微生物の培養条件、反応条件を最適化して、この変換生成物の生産性を評価した。 2.オイゲノール、イソオイゲノールの微生物変換:オイゲノール、イソオイゲノールに作用する微生物を分離した。オイゲノールの新規水酸化反応を明らかにした。これはオイゲノールの二重結合に水酸基を導入し、同時に二重結合がシフトしてコニフェニルアルコールを生成する反応である。本反応を触媒する酵素を精製単離し、諸性質と本反応機構を解析した。この酵素が水の酸素を水酸基に取り込む、脱水素酵素の一種であることを明らかにした。このオイゲノールの微生物代謝系を利用して、オイゲノールを著量に含バニリン酸の生産法を開発した。
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