研究課題/領域番号 |
14560064
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉村 徹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (70182821)
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研究分担者 |
森山 龍一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (60191061)
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キーワード | D-アミノ酸 / 真核細胞 / ラセマーゼ / 酵母 / D-アミノ酸N-アセチルトランスフェラーゼ |
研究概要 |
最近、D-SerがNMDAレセプターのアゴニストとして作用することや、D-Aspがメラトニンの分泌抑制に働くことなどが報告され、真核細胞でのD-アミノ酸の機能が注日されるようになってた。しかしD-Serを除けば、真核細胞でのD-アミノ酸の生合成系は不明である。本研究では、ゲノム情報に基づいて真核生物のD-アミノ酸代謝関連酵素を予測し、その機能やD-Aspに対する作用を検討した。Schizosaccharomyces pombeには、D-アミノ酸代謝関連酵素遺伝子の候補として、dao1^+、alr1^+、alr2^+、srf1^+を見いだした。各遺伝子のクローニングと遺伝子産物の解析を行つたところ、それぞれの遺伝子は、D-アミノ酸オキシダーゼ、アラニンラセマーゼ、アルギニンラセマーゼ、セリンラセマーゼをコードすることが明らかになった。出芽酵母、Saccharomyces cerevisiaseには、アセチルCoAからアセチル基をD-アミノ酸に転移するD-アミノ酸N-アセチルトランスフェラーゼが存在するが、本研究では、同酵素がヒストンアセチルトランスフェラーゼ(Hpa2p)と約50%の同一性を示すHPA3遺伝子にコードされることを明らかにした。HPA3遺伝子破壊株は、D-アミノ酸による生育阻害を受けやすくなる。一方、S.cerevisiaseのYBL036C遺伝子産物は一次構造上の相同性は有しないにもかかわらず、細菌型アラニンラセマーゼのN-末端ドメインと極めてよく似た立体構造をとることが明らかとなった。我々はYb1036cp遺伝子のマウスホモログをマウス脳のc-DNAライブラリーからクローニングし、その遺伝子産物のアラニンラセマーゼ活性を確認した。本研究では真核生物に以上6種のD-アミノ酸代謝関連酵素を見いだしたが、何れもD-Aspには作用しなかった。
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