研究課題/領域番号 |
14560071
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松井 健二 山口大学, 農学部, 助教授 (90199729)
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研究分担者 |
赤壁 善彦 山口大学, 農学部, 助手 (20274186)
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キーワード | 脂質メディエーター / メタボロミクス / ゲノミクス / 短鎖アルデヒド / T-DNAノックアウト / DAD1様リパーゼ |
研究概要 |
脂質メデイエーターは種々の生理現象を司るがその代謝系の代謝調節はそれぞれの代謝系に与る遺伝子産物の適切な発現調節を介して達成されており、その制御システムは複雑なネットワーク構造を成している本研究ではシロイヌナズナゲノム情報に基づくメタボロミクス的手法を用いて、脂質メデイエーター生成制御ネットワークの全容を明らかにすることを目的とする。14年度は以下の成果を得た。(1)脂質メディエーター生成系に関連すると思われる63個の遺伝子の一部についてRT-PCRによる発現解析を実施したが、定量性と網羅性に欠けたため、相当する遺伝子を増幅し、カスタムメイドマイクロアレイの作成を進めている。(2)脂質メデイエーターの中でも特に短鎖アルデヒドについて検討を進め、これらが病傷害曝露時に一過的に誘導されることを見出した。そこでこの生合成代謝系を制御する遺伝子群の発見を目途してシロイヌナズナマクロアレイを用いて遺伝子発現様式の網羅的解析を行った。現在までにレセプター型タンパク質キナーゼ・ジアシルグリセロールキナーゼ等信号伝達に関与していると考えられる遺伝子を十数個挙げ、解析を進めている。(3)遊離カルポキシル基を有する脂質メディエーターについてADAM誘導体とし、定量分析した。他の化合物は脂質画分からエステル交換トリメチルシリル化後、GC-MS分析により定性・定量した。その結果、酸化脂肪酸の生成・蓄積が種々の生理現象と密接に関連していることを見出した。(4)DAD1-like lipase (DLL)遺伝子のT-DNA挿入変異体を8種単離した。各変異体は通常の栽培条件では野生株と見分けがつかないが、塩ストレス、糖ストレス等のストレス下では明らかに生育状況が異なっていた。現在、その原因を調査中である。また、相同性が高い遺伝子についてはダブルノックアウトを作成し、その表現型の解析を進めている。
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