テルペンテシン(Tp)生産菌からクローニングした2つのテルペノイドサイクラーゼ様遺伝子産物(Cyc1とCyc2)は、geranylgeranyl diphosphate (GGDP)をTpの基本骨格を有するterpentetriene (TTF)へと変換する。両酵素の詳細な反応機構をin vitroで解析した結果、(i)Cyc1はmonomerで、Cyc2はdimerで存在すること、(ii)Cyc1は、GGDPを環化し、terpentedienol diphosphate (TDP)へと変換し、次いで、TDPは、Cyc2によりTTEへと変換されること、(iii)両反応ともに、Mg^<2+>今を要求し(至適濃度1mM)、反応の至適pHは中性付近であり、至適温度は、30度前後であること、(iv)Cyc1のGGDPに対するKmは、64.2±5.7μMであり、またV/maxは、94.7±6.9U/mgであること、(v)Cyc2は、GGDPと炭素数が15のfarnesyl diphosphate (FDP)にも直接作用し、各々から、TDPやTTEとは異なる3つのオレフィン化合物の混合物を生成する反応を触媒すること、(vi)Cyc2が触媒するこれら3つの反応の速度定数を求めた結果、Cyc2のTDP、GGDP、FDPに対するKmは、それぞれ7.6±0.6μM、7.9±0.6μM、61.7±3.0μMであり、炭素数20の基質に対する親和性が高かく、また、Vmax/Km値も、本来の反応か、GGDP、FDPを用いた場合に比べ、それぞれ15倍、58倍高いことなどを明らかにした。 また、一部の放線菌は、isopentenyl diphosphate (IPP)の生合成経路としてメバロン酸経路とMEP経路を合わせ持っている。これら放線菌におけるメバロン酸経路の存在意義を調べた結果、(i)主に二次代謝産物としてのテルペノイド化合物の生産に用いられるIPPを供給していること、(ii)メバロン酸経路遺伝子群は、テルペノイド化合物生合成遺伝子群とクラスターを成していることなどを明らかにした。 さらに、prenyl diphosphate synthaseの反応産物の鎖長決定に重要なアミノ酸残基を同定し、FDP synthaseとGGDPしsynthaseの1アミノ酸を相互置換することにより、反応産物の鎖長が人れ換ることを明らかにした。
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