研究概要 |
セルロースを直接発酵する酵母の育種をめざし、Aspergillus aculeatusからクローニングしたセルラーゼ成分を用いて、セルロースを直接発酵する酵母の育種をめざした。まず、エンド型酵素であるFI-CM-celulase(cmc1)とFII-CM-celulase(cmc2)の発現ベクターを構築し、酵母宿主の染色体の選択マーカーにエレクトロポレーション法で複数の栄養要求性かつ遺伝子表現型の異なる4種類の酵母の染色体に部位特異的に挿入した。導入株では遺伝子が発現していると考えられた。次に、cmc1とcmc2の多重発現を試みた所、両遺伝子の発現が認められた。次に、 エキソ型酵素として、Fi-Avicelase(aviIII)とFIII-Avicelase(cbh1)とβ-グルコシダーゼ1(bgl1)の3種の発現ベクターを構築し、酵母に導入したが、有意な発現を認めることは出来なかった。そこで、bgl1については分泌シグナルを変えたところ、若干の活性上昇が認められた。一方、上で得られた形質転換株の染色体解析を行ったところ、発現ベクターの挿入が確認された。今後さらに多重発現の研究を進める必要がある。 セルラーゼ遺伝子の発現制御をうまくコントロールするために、セルラーゼ遺伝子発現におけるCREAの作用機構について調べた。まず、creA遺伝子のDNA結合部位のみをGST融合タンパク質として発現させ、精製標品を得た。これを用いて解析を行った結果、翻訳開始点より-589,-450,-391の部位にCREAが結合することが示唆された。今後これらの部位がin vivoでCREA結合部位として機能することを解析する必要がある。
|