研究課題
本年度は、合成経路中に生物触媒を利用した反応を用い、光学活性2-メトキシナフチル酢酸を効率よく合成する方法を開発した。ネアルデヒドからラセミ体シアノヒドリンアセタートへの変換は二段階の反応を二価スズ存在下、同一容器内にて高収率で進行させる方法を見出した。B.cepacia由来のリパーゼを用い、加水分解は鏡像体比1:564と高選択的に進行し、未反応回収物として、99.9%e.e.を超えるR体を得ることができた。ついでR.rhodochrousが有するニトリルヒドラターゼの作用を利用し、アミドへと変換した。ここからは硫酸ニトロシルを用いたニトロソ化加水分解、さらにシリカゲル-ジアゾメタンを用いて水酸基をメチル化しエステルとし、最終段階には、K.oxytoca由来のエステラーゼを用い合成に成功した。一方、アミノ酸の一種である、プロリンのうち非天然型絶対立体配置をもつD-プロリン(R体)の生物化学的合成に有用な反応を開発した。環内窒素原子を保護したエステル類に対し、加水分解酵素による分割を試みた結果、C.antarctricaリパーゼがBoc体やCbz体に対し、E>100という鏡像選択性を示した(S体優先)。Cbz体に対しミミズ(L..rubellus)由来のプロテアーゼを作用させたところ、アイソザイム間で、優先して加水分解される鏡像体が異なることがわかった。
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