研究概要 |
1.GA_<95>の重水素標識体をモモ未熟種子に投与し、48時間代謝させた。代謝物を80%メタノールで抽出し、溶媒分画により酢酸エチル可溶酸性区を得た。これをPVPカラム、ODSカラム、DEAカラムで予備精製した後、ODS-HPLCを用いて精製し、GC-MSによる分析を行った。 2.重水素化GA_<95>の代謝物としてGA_3、3-epi-GA_3、3-epi-GA_3 isolactone、1α-hydroxy GA_5、GA_<92> (1β-hydroxy GA_5)、GA_<95>isolactoneのそれぞれの重水素化物が同定された。 3.GA_<95>とGA_3はともにモモ未熟種子の内生ジベレリンとして同定されていることから、GA_<95>からGA_3へのジベレリン生合成経路が機能していることが明らかになった。 4.3-epi-GA_3と3-epi-GA_3 isolactoneは内生ジベレリンとしては検出されなかった。3α位の水酸化はartificialな代謝であると考えられる。 5.1α-hydroxy GA_5とGA_<92>はモモ未熟種子における内生ジベレリンとして検出されていない。内生の1位水酸化ジベレリンとして、GA_<118>(1α-hydroxy GA_<20>)とGA_<119>(1α-hydroxy GA_9)を同定している。モモ未熟種子においては、ジベレリンの1α位の水酸化が機能していると考えられる一方で、1β位の水酸化はartificialな代謝であると考えられる。 6.モモ未熟種子のジベレリンの1α位水酸化酵素は、1,2位への二重結合の導入とともに、1位の水酸化に伴い二重結合を2,3位へ転移させる、複数の機能を有している可能性が示された。
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