研究課題/領域番号 |
14560092
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
服部 誠 東京農工大学, 農学部, 助教授 (40221501)
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研究分担者 |
小西 良子 国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部, 室長(研究職) (10195761)
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キーワード | intestinal infection / prevention / glycopeptide / glycomacropeptide |
研究概要 |
腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、コレラ菌、ロタウイルス等、重篤な症状を引き起こす腸管感染症が近年増加しており、社会的に大きな問題となってきており、これらへの対応が急務となっている。最近の研究の進歩により、細菌と宿主細胞の認識において宿主細胞表面の糖鎖が認識分子となっていることが明らかとなってきた。この認識メカニズムを応用し、腸管上皮細胞上に発現している糖鎖と拮抗的に作用する食品成分を腸管内に常在させることで、腸管感染症の予防が可能であると考えた。そこで、本研究においては、病原微生物が認識する糖鎖を、食品を起源として探索し、さらにそれらより糖ペプチドを得、微生物結合能を有する部分を明らかにすること、さらに得られた糖ペプチドに難消化性の糖質を結合したハイブリッド分子とすることにより、これらの生体内における安定性を増強し、実用上有用な分子を創製することを目的としている。昨年度は、牛乳グリコマクロペプチド(GMP)のSalmonella enteritidis (SE)、腸管出血性大腸菌(O157)に対する結合性、オボムチン由来糖ペプチド(OGP)のO157に対する結合性を見出した。本年度は、GMPの食中毒起因菌との結合性、感染症予防効果についての検討をさらに進めた。ビオチン化菌体を用いた結合アッセイ、ウエスタンブロッティングの結果、GMPのSE、O157に対する結合性にはシアル酸が関与していることを見出した。さらに、Caco-2細胞を用いたin vitro実験系により、結合性が確認された細菌に対するGMPの感染症予防効果を検討した。その結果、GMPおよびメイラード反応により調製したGMP-キシロオリゴ糖(XOS)ハイブリッドはSEの細胞への接着・侵入を有意に低下させなかったが、GMP-XOSハイブリッドが細菌感染の指標となる細胞におけるIL-8産生を有意に抑制することを見出した。
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