研究概要 |
1.L-アスコルビン酸(ビタミンC)および、その各種関連物質(たとえば、酸化型アスコルビン酸、モノデヒドロアスコルビン酸、2,3-ジケト-L-グロン酸、D-アラボアスコルビン酸、等々)の詳細構造解析を実験化学的、及び、計算化学的手法により実施し、実際の反応の場におけるそれらの動的構造の予測に役立つ基礎データを得た。 2.アスコルビン酸およびその関連物質の反応性、特に、三重項酸素との反応性について、実験および、計算化学的手法により検討し、主要反応生成物、反応機構等に関する基礎的データを得ることができた。 3.モデル酵素反応系として、プロリルヒドロキシラーゼによるプロリンの水酸化反応をとりあげ、コラーゲン合成におけるアスコルビン酸の役割につき検討し、その概要を明らかにすることができた。 4.酸化ストレスとして受動喫煙をとりあげ、その生体に及ぼす影響について動物実験により検討した。すなわち、実験用小動物としてODS-ラットを用い、その主要臓器(肺や肝臓など)における各種抗酸化酵素等の遺伝子発現に対する受動喫煙やアスコルビン酸投与の影響について種々の角度から検討を行い、アスコルビン酸の抗酸化機能と生理機能の統合的解析を行う上で必要な基礎データを得ることができた。 5.さらに、冊子体報告書をまとめるに際し、上記に得られた若干の動物実験データ等について再確認を行うと共に、DPPHラジカルを用いてアスコルビン酸のラジカル消去活性に関する追加実験を実施し、アスコルビン酸の抗酸化機構の基礎となるラジカル消去機構の詳細をはじめて明らかにした。
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