スギ花粉症は、戦後の植林に加えて住居環境の変化、食生活の変化、環境汚染、の増加等の要因から急増傾向にあり、深刻な社会問題の一つとなっている。しかし、即効性の一時的な対症療法剤に依存せざるを得ないのが現状である。そこで、スギアレルゲンを網羅的に解明するためにスギ花粉遺伝子工学的アレルゲン分子種の解明を行った。この方法により、CJP-3とCJP-6の重要なアレルゲンを発見した。次にスギ花粉タンパク質のプロテオーム解析を行った。スギ花粉アレルゲンタンパク質を2次元電気泳動を行い、蛋白染色の強いものからMALDI-トフマスを用いてアミノ酸シークエンスを決定し、患者血清IgEとの反応性から患者IgEとの反応頻度マップを作成した。その結果、少なくとも40人の花粉症患者の一人以上と反応するスギ花粉アレルゲンは131個存ストレス在した。スギ花粉症に関係する候補蛋白をリストアップし、この方法により、スギ花粉症を引き起こす総アレルゲンが明らかとなり、重要度のランク付けが行われた。 さらに、IgEエピトープを構成するコンフォーメーショナルな構造を解明するために花粉アレルゲンのファージディスプレイ法によるエピトープの決定を行った。主要抗原を用いて行い代表的なペプチドの配列が見出されたが、まだ、主要タンパク質との立体的な照らし合わせが行われていない状態にある。
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