先に、沖縄県で養殖により生産されているオキナワモズクに、フコイダンが多量含まれる事を明らかにした。また、このフコイダンは酢酸基を置換する事を明らかにした。ここでは、最初に、本藻から製造したフコイダン水溶液の流動特性と動的粘弾性をレオゴニオメーターを使用して検討した。フコイダン水溶液は濃度1.5%まで擬塑性流動を、2.0%では降伏値が認められ、塑性流動を示した。本フコイダンの動的粘弾性は濃度の増大に伴って1.0%まで徐々に増大したが、それ以上の濃度で急激に増大した。動的弾性率に比較して粘性率の値が高かった。塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムの添加によって動的弾性率が増大した。また、本フコイダンの動的粘弾性は、広いpH域で高い値を示した。以上の結果から、オキナワモズクから製造したフコイダンは、流動性に優れている事が解った。従って、食品、化粧品およびその他の工業で利用可能である事が示唆された。 次に、オキナワモズクに加え、沖縄県で養殖により生産されているイトモズクからフコイダンを製造してそれらの抗血液(ヒト)擬固作用について調べた。なお、オキナワモズクから製造したフコイダンは脱アセチル化物についても調べた。すでに抗血液凝固剤として使用されているヘパリンを対照に比較検討した。オキナワモズクおよびイトモズクから製造したフコイダンのトロンボプラスチン活性は、ヘパリンのそれと比較して高い値を示した。またトロンビン活性も高かった。フコイダンを脱アセチル化すると、抗血液凝固作用が増大した。以上の結果から、オキナワモズクおよびイトモズクから製造したフコイダンは血液の凝固を阻止する作用のある事が解った。 フコイダンは多くの機能を有する事から現在最も注目されている多糖である。特に、オキナワモズクに含まれるフコイダンは極めて特異な機能を有する可能性がある。
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