研究概要 |
キシロースーグリシン系メイラード反応で生成する青色色素(Blue-M1)を各種クロマトグラフィーで単離・精製した。Blue-M1は2分子のピロロピロール構造を有する化合物で、褐色色素であるメラノイジンの前躯体である。Blue-M1の抗酸化性についてリノール酸を用いたPOV(過酸化物価)の測定、フェントン反応を用いたESRによるヒドロキシラジカル消去活性、DPPHラジカルを用いたESR測定で検討を加えた。Blue-M1はメラノイジンと同程度の抗酸化活性を有していた。また、Blue-M1はヒドロキシルラジカルに対して、メラノイジンよりも高い消去活性を有していた。DPPHラジカルの消去活性についても同様に、Blue-M1はメラノイジンよりも高い消去活性を有していた。またBlue-M1の濃度依存的に抗酸化作用およびラジカル消去活性が上昇した。以上の結果より、Blue-M1は高い抗酸化活性およびラジカル消去活性を有することが明らかとなった。Blue-M1の4個のカルボキシルキをメチル化し、ヒドロキシルラジカル消去活性を測定したところその抗酸化活性には影響を与えなかった。従ってBlue-M1の抗酸化活性はピロロピロール環および2分子のピロロピロール環を結合しているメチンプロトンによると推定した。さらにCOS-1細胞を用いて脂質過酸化を検出する試薬であるDPPP[diphenyl-1-Pyrenylphosphate]で前処理し、AAPH[2,2'-azobis(2-aimidino-propane)dihydrochloride]で脂質過酸化反応を誘導し細胞毒性を測定した。その結果Blue-M1はCOS-1細胞のAAPH誘導した細胞膜脂質過酸化反応を抑制した。この作用は濃度依存的に抑制率が上昇した。以上の結果よりBlue-M1は生体系においても酸化ストレスを抑制することが明らかとなった。
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